おいでよクラシカロイドの沼

クラシカロイド 感想。私(ナジェージダ)、ミーチャ(相手方)の座談会形式で行います。よろしくお願いします。

クラシカロイド 3期20話「第2の音羽館」あらすじ

クラシカロイド 3期20話「第2の音羽館」あらすじ

 

 リストピアノ教室の講師としてピアノを真面目に弾き始めたリストは、体型や指の形の差にも慣れ、瞬く間に、前世の自分に次するようなピアノの実力を手に入れた。葵理栖斗を始め、名だたるピアニストを演奏対決で打ち負かすほどの超絶技巧、体力づくりにより磨き上げた技法、そして毎回恒例のピアノを2台ぶっ壊すというパフォーマンスにより、音羽ロイドたちが唖然としているうちに、天才ピアニスト、リストの名は日本中に広まっていった。

 折しも時の首相はピアノが、特にリストの楽曲が大好きで(持病の神経痛を癒してくれるのだという)、リッちゃんを直々に首相官邸に招いて演奏させたいと、歌苗に申し出る。お礼として、四国のある県に建てられた、プール、庭園、メイドつきの豪邸を音羽館のみんなに用意するとも。

 ここでパッド君が解説を入れる。リストと日本とのつながりは実は深い。弟子の一人に日本人がいた他、西園寺公望が、四国をリストに譲るのと引き換えにリストを日本に招こうとしたことなど(未遂に終わった)。

音羽館は、おばあさまとの思い出の残る大切な館です。どんなに好条件でも、離れるわけにはいきません」

 ロイドたちも、音羽館よりさらに縛りが多そうな豪邸には移りたくないという。

 しかし、リストは行く気満々。

「良いわよ、みんなが行きたくないっていうなら、私一人で四国に行くわ。そして好き勝手に生活してやるの」

 そしてスーツケースをひいて音羽館を去って行く。その時中庭の真ん中で、坐禅を組んでいたベトに遮られる。映像上で地味に描写されるが、ベトは禅宗にはまり始めていたのだ(史実、ベトはインド哲学を勉強していた)。

「良いのか、それで。物欲が満たされても、真の歓喜には至れないぞ」

「うるさいわね、私は今から、理想の愛の城を作るのよ。誰にも邪魔されない愛の城を」

 ベトを無理やり押しのけて、去って行くリスト。

 豪邸に着いてからのリストは、高価な化粧品を買いあさり、壁紙や置物を「ラブリー」に変え、理想の愛の城を追求する。しかし、何か物足りない。

 モヤモヤした気持ちが続いた数日後の夢に、ベトの衣装を着た、前世の自分が現れる。白髪頭の皺くちゃ顔で。

「お前は気づいたんじゃなかったのか、人生とは、死への長い長い前奏曲だと」

 そして、前世の記憶が蘇る。うつ病に陥り、出家した晩年の……。

「違うわ! 私は、そんな悲しい人間じゃない! もっと愛に満ち溢れた……」

 しかしそこから先は、途切れて言えない。気持ちを落ち着かせようとコーヒーを淹れる。しかしその時、お湯を入れたやかんを盛大にひっくり返してしまい……。

 パンパンに膨れたリストの手は、もうピアノを弾けなくなっていた。途端に、「君はもう用済みだ」と言う首相。館を追い出されるリスト。

 そのころ、音羽館ではちゃめちゃギョーザーパーティーをやっていたロイドたち。でもリストさんがいないと、何と無く締まりが無い。その中で、ショパンスマホで、「リストさんのけが」のニュースを見せる。「リストさんを見舞いに行かなきゃ!」しかし四国まで行く交通費がない。

 途方にくれるロイドたちに反応して、座禅を組んでいたベトが目を開く。

「大丈夫だ! 俺が感じた新しいムジークの息吹で、全ては解決する!」

 そして放たれるテンペストのムジーク。吹き荒れる嵐に乗って四国へ。

 そこで待っていたのは、「もう少しだけ館にいさせて」と言うリストと、「君は用済みだ」と言い放つ首相だった。涙を流すリストに、歌苗たちは訴えかける。「リストさんがいないとさみしい!」

 そしてベトが言い放つ。「お前の本当の愛を奏でるのだ!」

 リストは気づく。

「そう、お金や物で愛は買えない。だからって、人生は死への待ち時間だってバッサリ切り捨てるのも、間違いよ。

 金でも、欲でも、悲しみでもない。本当の愛は、これからよ!」

 放たれる「レ・プレリュード」のムジーク。傷を癒す効果がある。肉体的にも、精神的にも。

 リストのやけども、首相の神経痛も、そして前世の心の傷も癒えていく。

 あまりに美しいムジークの響きに、首相も涙を流す。「そう、これこそが私の求めていた音楽だ!」

 その後、神経痛が治った首相は、国内政治や外交を円滑に進めて行く。リストは表舞台から姿を消す。

「幻のピアニスト、リスト死亡か?」

 週刊誌に載ったそんな記事を眺めながら(史実リストも引きこもりの2年間に死亡記事が出た)リストは高らかに笑う。そして奏助に絡みつき、言うのだった。

ポンコツ、モテたいんでしょ? ピアノ、教えてあげる。もちろんロハでよ」