おいでよクラシカロイドの沼

クラシカロイド 感想。私(ナジェージダ)、ミーチャ(相手方)の座談会形式で行います。よろしくお願いします。

クラシカロイド 2期21ー25話感想

21話「英雄ショパン

ナジェ「間違いなく2期最高の回。発狂するといけないので、良かった点を4点あげます。

 1つ目はやっぱり「史実ネタ」ショパンがモノマネや風刺漫画が得意だったというネタ。しかも、世間一般で知られている、繊細で神経質なショパンのイメージを覆す逸話だよね。こういう先入観のちゃぶ台返し、どんどんやってください! ベトさんがインド哲学やってた話とか、リストが宗教家だった話とか、モツが5ヶ国語できる話とか!

 2つ目は「人間が描けている」。今回は、内気で人見知りのショパンが、勇気を出して孤立に悩む漫研のみんなをムジークで励ましに行く、という成長物語。漫研の皆さんにおだてられてついつい調子に乗り、音羽館のみんなの神経を逆撫でしてしまうところ、ベトやシューにキレられて萎縮してしまうところ、悲しそうな漫研の3人を見て意を決して思いを伝えに行くところ……ショパンの心情が、実に人間臭く、シームレスに描けている。反面、漫研の人含む他の人物は引き立て役のようになっていたけど、ショパンのメイン回以外の活躍が少ないことを思えば、差し引きゼロと考えていいでしょう。

 3つ目は「総合芸術」。あのデフォルメされた天才音楽家であるクラシカロイドをさらにデフォルメした漫画「フレディマジョルカの優雅な憂鬱」がめっちゃいい! ニックネームもキャラデザも最高だ。特にツボったのは、アツヌリストとオヤジスキー。女性にも容赦ないなw EDの漫画のコマ割りと吹き出しのようなスタッフロールもいいし、ショパンダンボールを突き破って走るシーンでの夕景も最高。こんなに美しいクラシカロイドは久しぶり。ただ、肝心のショパンの作画は微妙だったけど。

 4つ目は「ムジーク」。ジャパニメーション英雄ポロネーズ」。原曲もムジークも、鬱だった私を元気付けてくれた曲です。ムジークは吹奏楽の勇壮な音色と、オタクの熱情をひたすら応援する歌詞が素晴らしい。この話の展開の早さと相まって、物語全体に疾走感を産んでくれています。疾走感 ist  クラシカロイドクラシカロイド ist 疾走感!」

 

ミーチャ「今回はクラスで孤立しがちなインドア派、オタクを励ました話で、「弱者に優しいクラシカロイドの法則を見事に体現した回だね。3期もこういう話が出ることを、そして3期はその優しさがシューさんやドボちゃんにも回ることを期待しています!」

 

 

22話「バッハクラクニーベルング

ナジェ「さあシリアス回だよ。きついよ。きついので、印象に残ったことだけを書きます。

 まず、良かった部分。やっぱり「ロイドが音楽やってる」ところだよね! クラシカロイドはムジークだけじゃないってところをよく見せつけられたよね。ただ、チョっちゃんはどうせタブレットで演奏するならドラムじゃなくてキーボードをやって欲しかった。打楽器はシューさんの専売特許にしてさあ……。

 ここで流れたクラクラの新曲「愛だけがすべてじゃない!」も、可愛らしさとクラシックっぽさが程よく組み合わさっていい感じ。クラクラの3曲の中では一番好みだね。伴奏のピアノが小気味良い」

 

ミーチャ「あとは、バッハの父を訪ねて三千里のシーンかな。日芽歌さん、なに買い物という消費行動をちゃっかりあちこちでしでかしているんだよ。お前は消費しかしないのかw」

 

ナジェ「後半のムジークが奪われる展開は、まあバトルものの典型だよね。みんながムジークを一斉に出すシーンで、ベトが癒し系のはずの「月光」を出していたのと、チョっちゃんのムジークの音が聞こえなかったのが気になった。チョっちゃん、実はムジーク奪われてなかったんじゃ? あとそもそもみんな、なぜ自分からムジーク奪われにいったのよ? ご都合主義すぎるだろ?」

 

ミーチャ「疑問を残して、次の回に移ります」

 

 

23話「待ち人来たりて城が建つ」

ナジェ「今回も良かった部分、それはありきたりだけど、ATフィールドの話をしている部分! ムジー「闇を切り裂く光〜ジークフリードの葬送行進曲〜」で楽器のヴァルハラ城を作ったワーグナーを見て、チョっちゃんが言った、「他人を拒絶するために、心のバリアを形成している」。よくぞこれを言うのをチョっちゃんにしてくれた! もともと人見知りで、しかも直前の回でそれを乗り越えた彼だからこそ、ワーグナーの気持ちがわかると言うものよ」

 

ミーチャ「振り返ってみると、ワーグナーは唯一、ショパンには辛辣な態度をとっていないんだよな。むしろ2話で、「そんな繊細な塗り方はあなたにしかできません」とお世辞を言っている。同じ不器用で人が信じられない、でもどこか人との絆を欲しがっている人同士、仲良くできたんじゃないかな?」

 

ナジェ「確かに。チョっちゃんにもう少し積極性があれば、音羽ロイドとの「家族関係」を切り開く鍵になったのかもしれないね」

 

ミーチャ「気になったのはあと、冒頭の競馬のシーンかな。音羽博士もギャンブル狂だったのか。博打で飯を食おうとするなw

 あと、中盤、ワーグナーのムジークを使えないようにしたのは音羽博士だったと言う告白、あれもうちょっと、順を追って説明できなかったのかな。「こう言う理由があって、ムジークがあることは君にとって不利益になる、だからムジークを止めた」って言えばいいところを、いきなりトラウマ級の事実を言うもんだから、そりゃあワー君も発狂するわ。夫妻揃って日本語が下手なんだな」

 

ナジェ「ロシア人に言われるなんてねw」

 

 

24話「姉と弟」

ナジェ「23話もそうなんだけど、なんとなくバトルものでみんなが喜びそうな展開を集めたような回だったね。だから私も、ぼーっと見ていた時は、ショパンが崖から落ちそうな歌苗を助けたシーンに思わず感動したり、8人のクラシカロイドがタクトからビームを出して鍵をあけるシーンに胸熱になったりしたんだけれど……」

 

ミーチャ「細かく考えると、臭いかつ時間不足気味だね。テンポや間の空け方がうまく、相撲やみかんゾンビみたいなゲテモノ展開を次々生み出して来たクラシカロイドにしては不自然。

 だいたい、せっかくムジークが奪われると言うピンチを用意したのに、ワーグナーにたどり着く前に、勝手に「ワーグナーの心の声」とやらを理解したモツさんが「光の旅人〜交響曲第40番より〜」を発動させ、それに呼応してバッハが「But I still love you forever〜マタイ受難曲より〜」を生み出し、二つのムジークを聞いたみんなに力が戻ってくる、と言う流れ。ご丁寧にベトさんの「運命、崩れ落ちる〜交響曲第5番〜」を最後まで残しておくというハラハラ展開つきでね。え、これ、ムジーク奪った意味、あったの? あの重たい扉はリボンの騎士に変身した歌苗のレイピアで切り裂いて、みんながワー君のところまでたどり着いて、「僕らは家族だ」と説得して初めてムジークが戻るとかじゃないと、話が不自然になるのでは? あと、音楽としての今回のムジーク3曲も、1期25話の3曲に及ばなかった。ちょっと音が軽い。特に第5はベトさんのテーマ曲なのに、「田園」以下の迫力のロックにされていて悲しい。効果としても、変身系か。シューさんのと思いっきりかぶっているじゃないか。ますますシューさんがかわいそうだよ」

 

ナジェ「そう、今回は不憫キャラへの救済が全くと言っていいほどなかった。奏助は忘れ去られて、ビルの窓からぶら下がったまま。高所恐怖症の私としてはこれ以上の地獄は考えられないよ。

 ドボちゃんは、「光の旅人」ムジークを背景に、音羽博士から口約束で「人間にしてやるよ」と言う返事をもらっただけ。え、ドボちゃんコビトカバ問題は、ギャグだったの、シリアスだったの? 中途半端な終わり方でもやっとした。せっかくの新キャラなのに、使い捨てみたいで勿体無い。

 そしてシューさん。この人が一番不憫。なんで「光の旅人」聞いて「モーツアルト、お前は天才だ」とか言わされないといけなかったの? 「だが私は私だけの音楽を奏でる!」って、口だけで言わせておいて、何故新しいムジークを作ってやらないの。モーツアルトシューベルトより上という見解を公式に発表したわけ? そんなのNHKがやっちゃダメ。2期9話と同罪だよ。3期では絶対に、素晴らしいシューさんのムジークを作ってやってくださいね。指切りげんまんですよ」

 

ミーチャ「後半の歌苗vs歌苗も違和感。もう一人の自分と戦うべきは、承認欲求に溺れたワーグナーだよ。それに、この戦いにクラシカロイドが参加できないのがなんとも。これが、ワーグナーの心が生み出したドラゴンとの戦いで、クラシカロイドの援護射撃を受けながら、最後に歌苗ちゃんがとどめを指すとかだったら面白かったのに」

 

ナジェ「音羽博士がワーグナーを不完全なクラシカロイドにした理由は、「ムジーク暴走の危険があったから」ということだけど、それを言っちゃあ、暴走が全くなかったクラシカロイドは、バダちゃんぐらいしかいないよ? 効果が大きく出すぎることだけを暴走というにしても、ムジークの発動条件って完全にノリと勢いで、効果もその時々によるから、何が出るかわからないびっくり箱みたいな超能力者を作ったのと同じことなんだぞ。こんな危険なもの作っといて、何を今更ワーグナーのムジークの暴走ぐらい恐れているの? これが私が妄想したみたいに、ワーグナーのムジークが世界全体を歌劇にするとかいうマクロなものだったら抑えようとするのもわかるよ。(バッハも同じことしているけど配慮はゼロだけどね)。違うじゃん。自分が閉じこもってるだけのちっせえムジークじゃん。じゃあ勝手に閉じこもらせとけばいいじゃないか」

 

ミーチャ「歌苗ちゃんのビンタも、クラシカロイドと家族の集合写真も、とってつけたようで嫌だったな。ワー君は、悪口言ったり陥れようとしたクラシカロイド全員(多分チョっちゃん以外)に一度本格的に謝るべきだよ。その後に相撲でもやればいい」

 

ナジェ「結局、相撲回は一体何だったんだろうねw

 ネグレクトしてきた音羽夫妻が家族愛を語る資格はない。この言葉で、愚痴を占めよう。

 要するに、ミクロな問題の話、フィクションの枠組みだけで完結するような痴話喧嘩は私の好みじゃないし、ミクロをやるなら超展開に頼れない分登場人物の気持ちを丁寧に掘り下げてほしい。

 これに尽きますね」

 

 

25話「ザ ラスト クラシカロイド

ナジェ「タイトルが悲しすぎるよ! 

 実はこの回、前の3回を見る前に見てしまいました。その時思ったのが、謎の清涼感。

 予告の「クラシカロイドもムジークも全部幻なんだよ」という奏助の発言に、ポケモンの最終回かよ! と思わず驚いてしまった。「ミュージシャンとしてパーッとデビューしてモテたい、だから手っ取り早くムジーク!」という非現実的な夢に溺れている彼が、進路調査を前にして急に現実を考え出し、ベトモツの輝かしい17歳の時の業績に落ち込み、ムジークを出そうと苦心する。なかなか重い展開なのに、警察やら「きょうの料理」のパロディやらが出てくるのはなぜだろうw

 「高校やめて、上京して、アイドルデビューする」というやばげな決意を固め始めた彼ですが、パッド君がドボちゃんの通訳係として彼の元を去り、音羽ロイド達も次々と旅立って行き……という状況を目にした時に、みんなとの平和な生活を再び望んでしまう奏助。彼がオルガンを触った拍子に、ハッシーがムジークを出して、音羽ロイドたちを強制送還する。「ぬるま湯でもいいじゃん、色々ダメでもいいじゃん!」という彼の発言、私は賛成できません。やっぱり人間は、大人になるにつれて、何者かにはならないといけない。それがどこかの企業の一員という意味でも、家族の一員という意味でもいいから。でもまだ高校生だもん、それにギャグ時空の住人だもん、ぬるま湯にいたっていいよ、奏助。あなたたちの平和な日常こそ、何者かを目指して頑張る私たちの清涼剤なのだから

 

ミーチャ「いい感じの話で締めたところで、小ネタを少し。リッちゃんの「子猫ちゃん、愛してるわ」は泣けた。音羽家、小学生の稼ぎで借金返した上に、また両親の狂態で借金そのものも振り出しに戻るのはいかがなもんか。チョっちゃんとドボちゃんはいつの間に和解した? そして、最後の歌苗のセリフが「入居者募集中!」なのいいな。スイートフロートアパート! これは3期へのフラグだな!」